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若返りの女勇者
頭がずきずきと痛む。全身も叩き付けられたかのように痛い。健康管理は万全のはずである。人間ドックでも無病この上なしだとお墨付きをもらったはずだが、選挙運動での疲れが出たのだろうか。
私はゆっくりと目を開け身体を起こした。ここは一体どこなのだと目を見開く。まず間違いなく選挙の事務所ではない。ぼんやりと光る石でできた変わった形のホールだ。天井が高く広々とした十六角形となっており、それぞれの頂点には円柱が立っている。私はそのど真ん中に倒れていたらしかった。
「あいたたた……」
四つん這いになり改めて辺りを伺う。薄闇に目が慣れると周りに人がいるのが分かった。それも結構な人数であり十人はいるだろうか。私がそれよりも何よりも驚いたのは、彼らの髪や目が金、銀、紺、紅だからではなく、中世さながらの鎧、またはローブを身に纏い、手には杖や剣を持っていたからだった。皆口々に何かを呟いている。
「召喚が成功した」
「成功したぞ。これで国は救われる」
「それにしても女勇者か。何と美しい少女だ」
はて、ここは映画の撮影のロケ地なのだろうか? いくら外人タレントとは言え、なかなかなりきりも堂に入っている。
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