眠れぬ国の眠り姫

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むかしむかし、あるところに。 とても栄えた国がありました。 王様は力強く、王妃様は優しく。 そして、2人の間には可愛らしいお姫様がおりました。 ある年のこと。 王妃様は冬の病に倒れ、そのまま亡くなってしまいました。 嘆き悲しんだ王様。その力強い悲しみは呪いとなり、国中を包んでしまいました。 国の人々は、けして眠ることが出来なくなってしまったのです。 もちろん、幼いお姫様も例外ではありませんでした。 それから十年の月日が流れました。 呪いの力で人々は、眠らなくても疲れない体になっていました。 1日ずっと仕事に精を出す者。 1日遊び呆ける者。 様々な人がいましたが、皆眠りを必要と感じなくなっておりました。 しかし、眠らない人々の肌は皆老人のように荒れていきます。 年頃の少女となったこの国のお姫様も、例外ではありませんでした。 このことに心を痛めた森に住む魔女。 魔女は亡くなった王妃様の友人でもありました。 あの王妃の娘ならば、本当はもっと美しいはずなのに。 魔女は呪いを解くことは出来ませんでしたが、力を振り絞りお姫様にだけ魔法をかけました。 3年の眠りにつく魔法です。 このことに王様は激怒し、魔女を城の牢屋へ閉じ込めてしまいました。 国の人々は眠りを必要としていなかったため、お姫様にかけられた魔法について、口々にこう言いました。 姫は魔女に、怠け者の呪いをかけられたのだ、と。 3年が過ぎ、魔法が解けたお姫様は、自分の部屋で目が覚めました。 何だかとても体が軽くなったように感じたお姫様は、軽やかな足取りで王の元へ向かいます。 お姫様を見た王様は愕然としました。 睡眠を得たお姫様は別人のように美しくなっており、亡くなった王妃様にそっくりだったからです。 そこへ、いつの間にか牢を出ていた魔女がやってきて、王様に言いました。 王妃が亡くなったことは私も悲しい。だが、だからこそ王妃が残したこの姫のことを、大切にしてやらなければ。 王様はその言葉に涙を流し、お姫様を抱きしめました。 すると、王様の呪いは解け、国の人々は皆眠ることが出来るようになりました。 人々も美しくなったお姫様を見て、しっかり眠るようになり、人々は幸せにくらしました。
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