終電車

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 三栖は電車を降りてしまったことを後悔していました。なぜなら、三栖が降りてしまった駅は、自分の最寄り駅である終点の駅ではなかったからです。しかも、全く見覚えのない未知の駅だったのです。最初、降りてしまったとき、終点から一つ手前の駅で降りてしまったのかなと思ったのですが、明らかに風景が違ったのです。いくら都会から少し離れているとはいえ、目の前に里山の原風景が広がっているほど田舎ではないからです。 三栖は純粋に、ここはどこだろうと思いました。そう思っているとき、三栖の目の前を一人の駅員が横切ったので、三栖は声をかけました。 「すみません。あの・・・この駅は一体・・・」 すると、駅員は三栖の顔を見て、いぶかしげな顔をしながら、 「え、もしかしてあなた最終駅で降りる人?」 と言いました。 三栖は、びっくりしました。なぜ、見ず知らずの人間が、自分が終点の駅で降りること知っているのかを・・・三栖がびっくりして黙っていると駅員は続けて言いました。 「やっぱりそうなの?困るんだよね~、上から怒られるの僕なのよ・・・」 そういうと、駅員は三栖の頭に手をのばしてつかもうとした。
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