Seemann《ゼーマン:船乗り》

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二人の口喧嘩が再び勃発した。カミルは以前自室を整えてくれた件で『今度会ったら褒めてやろうか…』と思っていたのもすっかり忘れていた。まだ、船員達は二人の喧嘩に慣れていなかったので止めるのに必死だった。 一旦ルズベリッジに戻って、数日後ーーー。 再びナギにきたカイエンはカミルの姿が見えなかったので、今回は海には行かず真っ先に部屋に向かった。 「また寝てるんですか!いい加減に起きてください!」 ドアを思いっきり開けたが……人の気配はなかった。相変わらず床には紙が散乱していた。前回よりは紙の量は少ないとはいえかなりの量だった。 沢山あったので今回もさっと纏めるだけにして、カイエンは海に向かった。今日はこの後の出航に向けて準備を進めているようだった。 「お早うございます。……社長はいらっしゃいますか?」 「お早うございます!社長なら甲板で作業中ですよ!呼びます?」 そう言って船の方を指差した。『大丈夫ですよ。有難うございます』と挨拶をした時にカイエンはある事に気が付いた。 (この船員…前回私が声をかけた船員と同じ人物!?間違いない…この数日で何があった?) その船員は前回も同じく『社長はいらっしゃいますか?』と声をかけ船員だった。その時は元気もなく『さあ…居ても居なくても変わらないんで…』と答えていた。それが、全く人が変わってしまった。カイエンは船員に聞いてみることにした。     
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