Seemann《ゼーマン:船乗り》

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「あの…前回お会いした時は、元気なかったようですが…体調でも良くなかったのですか?」 「ああっ!あの時の!すみません…あの時は態度悪い感じになってしまって…。いや…あの頃は色々あったから大変で……それを社長が話聞いてくれたんですよ。そしたら大分気持ちが楽になって、今までみたいにこの仕事楽しいって思えるようになったんですよね…」 船員は甲板の方に目を向けた。同じ方向に視線を向けるとそこには腕を組みながら真剣な表情で船員と話しながら出航の準備を整えているカミルの姿があった。少し話した後笑いながら船員の背中を大きく叩いて船員から離れた。 (……ああいう顔もするんだ……) 真剣なカミルの表情を初めて見たカイエンは目が離せなかった。準備が整って一旦船から降りるカミルと目が合いカミルは『げっ!居たのかよ!』と明らかに嫌そうな顔をした。 「本当に来やがったんだな…あん時の冗談と思ってた」 「言いましたよね?私は冗談や嘘が嫌いだと。聞いていなかったんですか?貴方には耳がついていないんですか?」 「テメエはいっつも一言多いんだよ!オレが耳無しならお前は口が二つ付いてんじゃねーのか?…で、今日は何の用だ?」 「少しでも儲けが出るようにちゃんと考えてみました。一度確認してもらいたいと思いましてね」     
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