Seemann《ゼーマン:船乗り》

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カイエンは持っていた鞄から紙を取り出す。カイエンが考えたのはどれだけ少ない人数で航海できるか、短い航路の本数を増やして行く計画を立ててみた。 カミルは紙を受け取り見てみる。ところが、サッと見ただけで直ぐにその紙をカイエンに返した。 「まあ、ど素人の考えだな」 「何処がいけないと言うのですか?」 「現実味が無いんだよ。人数が少なければ確かに海損で掛かる金額も少なく済む。ただ、全員が何でも仕事をこなせる完璧な人はいない。船員の仕事を知らなすぎだ。それに、人を運ぶ定期便じゃないんだから同じ航路を何回行っても荷物が無ければ結局無駄だ。もっとよーーく考えるんだな、ど素人!」 「貴方は人を素人素人と煩いですね…」 「素人じゃねーよ…ど!素人だ。テメエだって人の事馬鹿馬鹿煩いじゃないか!」 「だから阿呆と言ってあげましょうか?って前言いましたよね?やっぱり耳付いていないんじゃないですか?」 「お前なあ!」 「なんですか!?」 「やっ!…やめて下さい二人共!!…しゃ…社長!そろそろ出航ですよ!ほっ!…ホラ!帰ってきたら俺らと呑む約束忘れてないっす…よね?」 今日は喧嘩が勃発する前に船員が止めに入った。この二人の間に入るのは相当勇気がいったと思う。余りの剣幕の口喧嘩に止めに入った船員の声が少し震えていた。     
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