Seemann《ゼーマン:船乗り》

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カイエンは殆ど酒場に来たことが無かった。 酒は嫌いではない、寧ろ好きなほうだと思う。家でゆっくり本を読みながらワインやシャンパンを飲むのがカイエンの仕事終わりの楽しみでもあった。 それとは全く正反対でそこら中で大声を出しながら安い酒をガブ飲みしている酒場の雰囲気がどうしても好きにはなれなかった。 今日は仕事が終わり皆で酒場に呑みに来るのに誘われそのまま来てしまった…。最初は断ったのだが『連れて行かないとオレが怒られます』と船員達に宥められ仕方なくついて行くことにした。 船員達も酒を酌み交わしながら肩を組んだり大声で笑いながら騒いでいた。そんな中でも人一倍大騒ぎしているのは、やっぱりカミルだった。 (やっぱり酒の嗜み方も知らない馬鹿だ……こんな酒の何が上手いのやら…) カイエンは内心毒突きながら安い酒を一口飲んだ。少し薄い酒と感じたが嫌いな味ではなかった。そんな様子を見ていたカミルがカイエンの所にやって来た。 「ここの酒、そんなに不味くはないだろ?」 「まあまあって所ですかね…。飲めなくはないです」 「なら良かった!もっと飲めよ!」     
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