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Bruder《ブルーダー:兄弟》
カイエンがナギに来るようになって1ヵ月が過ぎた。
カミルは殆どの船員と打ち解けて仕事も順調に回るようになり、少しではあるが儲けが出るようになってきた。
カイエンもエルドラの元で秘書の仕事を続けつつ週に2日程顔を出すようになり、酒場の少し薄い酒にも慣れてきた。
それでも相変わらず二人会うと喧嘩が絶えず、船員達も毎回毎回喧嘩を止めるのが面倒になり今では『ただの痴話喧嘩』と黙認するのが船員の中では常識になっていた。
船員達の中で唯一カミルに真っ当に立ち向かえるカイエンは、仕事振りとその秀麗な容姿も手伝って『社長の姐さん女房』と囁かれるようになっていた。実際はカミルの方が3歳年上なのだが、しっかりしたカイエンの方が年上に見られている。
船員達は仲間意識が強く、人の受け入れについて少し閉鎖的な所もあるが、カイエンは船員達にも認められ受け入れられていた。
「だから!どうして積荷と金額が合わないんですか!」
「仕方ないだろ!!あの人は高いと積荷ださねーって言うから」
「だからって安くし過ぎです!ナメられてるんですよ!そんな事も分からないなんてその頭は空っぽですか?」
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