Bruder《ブルーダー:兄弟》

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見つめられると心奪われ、彼の言いなりになってしまいたくなりそうな蠱惑的な瞳だった。 「ふーん。こっちは片手間にできる事だもんね。それでも凄いよ。助かっているみたいだね。有難う」 「そんな……とんでもございません。後、片手間とは思っておりません。どちらも私の仕事です」 眼光の鋭さが消え『有難う』とカイエンに微笑む。この笑顔を女性が見たら女性は簡単に堕ちてしまうだろう。カイエンは再び目を逸らしては失礼だと今度は一礼して視線から逃れた。 「悪りぃ……ちょっと船見てくる」 カミルが足取り重く会社から出て行こうとする。 「ちょっ!待って下さい!せっかく!……」 「悪りぃ……」 カミルを追いかけようとしたが、客人をそのままにしておくわけにはいかない。相手はカミルの兄なんだから尚更放っておく訳にはいかず、カイエンは踏み留まりルンハルトの方を見た。ルンハルトはニコっとカイエンを見てヒラヒラと軽く手を振った。その仕草すら絵になる男だ。 「大丈夫だよ。いつもの事だから…心配なら追いかけてあげて、キミの大事な人なんだろ……カミルは?」 「違います!」 カイエンはきっぱりと否定した。それでも、ルンハルトが来てから様子がおかしいカミルが心配で堪まらなかった。     
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