Bruder《ブルーダー:兄弟》

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「有難うございます。アイツの居そうな場所って分かりますか?」 「酒場はまだ開いてないし…。船にも会社にも部屋にもいないならオレらには分からないですね…」 オーバンはもう一度首を横に振った。『あっ!でも』と何かを思い出したかの様に声を上げた。 「もしかして…ですけど、オレら雲の流れとか様子見る時に丘に行くんですよ。ホラ、あの大きな屋敷の辺り。あそこなら雲の流れが良く見えるんですよ…もしかして天気見に行ったのかも…」 「アスラン様のお屋敷の辺りですね!有難うございます!」 (ホント、あの馬鹿!……アイツのあんな元気のない顔は見たくない!見せちゃいけない!見たいのは…) 頭に浮かんだのは大きく笑う笑顔。何故か急にあの笑顔が見たくなった。さっきの様子がおかしいのも一時的な事で、自分が行けばまたいつもの様に『しょうがねーな』と言って笑ってくれるとカイエンは考えていた。 カミルが丘にいると信じてカイエンは丘に向かって走って行った。     
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