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カイエンは意を決して会社のドアを開けた。そこにカミルの姿はなく少しホッとしたが、それ以上に何故か寂しく感じた。
そして、カミルの代わりにそこにいたのは…カミルの兄、ルンハルトだった。ルンハルトはカイエンを見て笑顔で手を軽く振った。カイエンはカミルを連れて戻って来ると言ってそのままだった事を今更思い出し、慌てて詫びる。
「あっ!…ルンハルト様…先日は申し訳ございませんでした。あの…社長はあの後…?」
「カミルなら君が呼びに行った後来てくれたよ。呼びに行ってくれたみたいで助かったよ。有難う。……こちらこそ、弟が失礼な事をして見苦しい所を見せてしまったね…。済まなかった」
ルンハルトが立ってカイエンに頭を下げた。カイエンが慌ててルンハルトに声をかける。
「いえ、とんでもございません!私も貴方様に会うまでは外にまで聞こえる喧嘩してましたから…私の方こそ大変失礼な事をしてしまいました!お願いですから頭を上げて下さい!」
ルンハルトが顔を上げカイエンと目が合う。ルンハルトがクスっと笑いかけた。何でも許してしまいたくなりそうな笑顔に直視出来ず目を逸らす。ルンハルトはそれを怒ったと判断した様だ。
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