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「失礼。君が慌てる様子が余りにも可愛くてつい笑ってしまった。後…私の事は『様』付けは無しでお願い出来ないかな?君とはこれから仲良くしたいんだ。…カミルの…大事な弟のご友人だからね」
「はい…では、ルンハルトさん。これからも宜しくお願い致します。…それで、社長はどちらに…?」
カミルの名前を聞いて一瞬顔が引き攣る。気分が動いたが平静を装いルンハルトに聞く。
「カミルなら港に出ているけど、予定ではもうすぐ帰って来るんじゃないかな…?」
「そうですか…」
会って話をしたかったが、何を話して良いかまだ分からない。カミルは自分にあったらどういう反応をするのか不安だった。どうしようかと立ったままになっていると、ルンハルトから声をかけられた。
「まだ時間があるなら、申し訳ないけれどこちらを手伝って貰えないかな?」
「はい…失礼致しました。…こちらですね」
何もせずモヤモヤした気持ちを抱えるより仕事をしなくては…自分が来ている目的を忘れてはいけない…カイエンは強引に 気持ちを切り替えた。
ルンハルトの仕事は完璧だった。的確に指示をくれる上、この間の喧嘩した件もきちんと修正されていた。
もし、カミルではなくルンハルトが社長になるのなら、自分は此処に来る事は絶対になかっただろう。
「君は向こうでも優秀な秘書なんだろうね。仕事振りが丁寧で助かるよ。どれぐらい秘書をしているのかな?」
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