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4人の一番後ろを歩きながらカイエンが眉を顰めた。そんなカイエンの心配を他所にエルドラとカミルはどんどん話を進めていく。
「そういえば…お父上とお兄様達は?」
「もう相変わらず!『お前は早くまともな仕事しろ』ってそればっか」
「…お前は海ばっかりだからな」
「仕方ねぇだろ。好きなんだから」
(本当に大丈夫か…?)
エルドラはカミルの事を信頼して会社を任せる様だが、カイエンはどんどん不安が募っていった。話を聞く限り家の会社の経営には全く携わっておらず船員と殆ど変わらない仕事をしているようだ。
「まあ、そういう所が俺は気に入っているんだがな。さて…本題に入ろうか。カイエン書類を」
「はい、こちらです。こちらにアスラン様の署名とカミル様の署名を頂ければ大丈夫です。念のため目を通してから署名をお願いします」
「分かった…ココだね…」
「はいよ」
カイエンがテーブルの上に書類を置く。アスランは手にとって一旦最後まで目を通してから慎重に署名していたが、カミルはサッと見ただけで署名してしまった。その様子を見てカイエンはまた眉を顰めた。
「よし!これで終わりっと!アスランさん。何とかしてみるんで、大丈夫ですよ」
「うん。よろしくお願いします」
カミルとアスランがもう一度握手して、会社の譲渡はあっさりと終わってしまった。
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