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エルヴァンシエル王国。
北スフィアに位置するノーザリア大陸の三割ほどを領土とし、約二千年ものあいだ直系のみで血を繋いできた世界最古の歴史を誇る絶対君主国家。
その興りには、一大宗教であるエリシアール教の誕生にも密接に関わっているため、両者間で軍事や教育、医療など全てを連携した宗教国家としての面も持ち合わせている。
国土は小さいながらエリシアール教の絶対的な後ろ盾もあり、女神の御言葉の代行者として、現代に至るまで常に世界を導く神聖不可侵の地と定められている。
現当主のカタリナ・ランドルト=エルヴァンシエルは、ニ十年前の貿易都市シエル=ザヴァールにおける貧富格差是正改革を始めとした搾取構造に風穴を開ける政策の数々で『貧民の父』の名で民に愛されている。
次期王位継承者と呼び声高い第一王子メリル・ロムルス=エルヴァンシエルも、執務補佐官として国の統治に携わるなかで既にその手腕は父王を凌ぐとの噂が絶えず、エルヴァンシエルは、ひいてはルデルミーユは今世も安泰が約束されていると誰もが信じて疑っていない。
そう、言われていたはずだ。
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