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日曜日の今朝、朝食を摂り終えて、午後から観に行く予定の映画の話をしていると、旦那様である敬一さんに電話連絡が入った。
なんでも草サッカーの試合に欠員が出たので、参加してくれないかということらしい。
「いいよ、行ってらっしゃい。映画は来週もやってるし」
私は快く送り出すことにした。敬一さんが子供の頃からサッカーをやっていて、それは大学受験を期にやめてしまったのだけれど、たまには身体を動かしたいなとこぼしていたのを知っていたからである。
「え、でも。ご飯は?」
敬一さんは約束を先伸ばしにすることよりも、私の食事の心配をしているらしい。
我が家では、食事を作るのは敬一さんの役割になっている。
共働きなので自然と家事の役割分担ができたという部分もあるが、もっとも大きな理由は、敬一さんがプロ級の腕前を持ち、対して私は全くできないからだった。
どうやら私は、料理というものに必要な決定的な何かに欠けているらしい。
「大丈夫よ。何か適当に食べるから。コンビニだってあるし」
そう言って敬一さんを追い出した私は、久しぶりの朝寝を決め込むことにした。
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