新妻カレー戦線

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 それからどれほどの時間が経ったか。 「お腹、すいた……」  空腹で目が覚めた私は、コンビニでも行くかな、と、ごそごそと寝床から起き出した。  ああでも、着替えて顔を作るのも面倒だなあ……としばらく惚けているうち、私はある素晴らしい思い付きを得た。  これは、料理の練習をする絶好の機会ではないのか。  なにしろどんなにひどい失敗作でも、全て自分で食べてしまえばいいのだ。  それで、万がいち上手くできたら、敬一さんにも食べてもらおう。  それでそれで、もし、「美味しいよ」と言ってもらえたら。  うふふ。うふふ。  作りもしないうちから幸せな妄想に浸った私は、さっそくキッチンに向かった。  メニューは、一択。  カレーである。  敬一さん曰く「日本で最も不味く作るのが難しい料理」だ。  下拵えに不備があっても、カレールーさえ入れてしまえば自動的に美味しくなるし、ましてうちの冷蔵庫には今、敬一さん特製のびっくりするくらい美味しいカレーペーストがあるのだ。  これなら私でもどうにかなるだろう。  じゃがいもと人参を用意する。あと具になりそうなものは……。  そうだ、冷凍庫に昨日買ったマグロの血合いブロックがあったっけ。安くて美味しくて栄養価も高い、私の大好物だ。
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