第三章 宴

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「わたしの贈ったドレスを着てくださったのですね。とてもお似合いですよ」  着たくて着たのではない。女官たちによってたかって、有無を言わさず着せられたのだ。  喉まで出かかった言葉をこらえ、阿梨はセルト王子に微笑みかけた。 「お心遣い、感謝いたします。また今回の件はセルト王子殿下にも国王陛下にお口添えいただいたと聞いております。誠にありがとうございました」 「殿下などと他人行儀に仰せになりますな。どうかセルトとお呼びください。  ささやかながら宴のご用意をいたしました。今宵は無礼講。どうぞ羅紗国の皆さまでお楽しみください」  王子の言葉と共に、挨拶の間は止んでいた音楽が再び鳴り始める。  王宮の広間はいたる所、花々で飾られ、テーブルには山海の珍味が山のように並べられている。
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