第四章 波の音

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 庭園での騒ぎから、数刻の後。  控えの間で、阿梨と勇駿の二人は国王と勇仁の話し合いが終わるのを待っていた。 「マルバ王国との取引は駄目になるやもしれぬな」  阿梨はしゅんとして、つぶやいた。  いかに相手に無礼があったとはいえ、取引が遅れた謝罪に来ておきながら、その国の王子を投げ飛ばしたのである。  何しろとっさであり、おまけに葡萄酒に酔っていたので、手加減する余裕などない。  体術になど無縁なセルト王子は、したたかに地面に体を打ちつけ、気を失ったままだという。  せめて肘鉄(ひじてつ)くらいにしておけば良かったと後悔しても後の祭り。下手をすれば外交問題だ。  いきさつを知った勇仁は宴での酔いも吹き飛び、急遽、マルバ国王に会見を申し込んだ。
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