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山を越えると亀岡市に入る。ここまで来ると同じ道でも『五条通』の表示は消え、『国道9号線』とだけ書かれる。
亀岡は、嵯峨嵐山と往き来する『トロッコ列車』や『保津川下り』のイメージがある。私はほとんど来たことがない。
外の景色は、雰囲気がかわる。山の裾に住宅街がある。
しばらく走るとコンビニがあった。少しずつ建物が増えていく。中心街が近づくと閉店時間を過ぎ明かりの消えたパチンコ店や車の販売店があった。
国道沿いには建物が並ぶが、京都市内に比べると間隔があいている。さっきからラーメン屋もよく見かける。
「遥さん、昨日は何してたん?」
中島君に話しかけられた。
沢村さんと会って振り回されたとは言えない。だらけて過ごしていたことにする。
「中島君は?」
質問を返して誤魔化しにかかる。
「実家に帰って、母親にいろいろ責められて、精神的にガッタガタ」
大変だったようだ。
「僕は三男やから結構気楽にすんのをゆるされててんけどな、ちょっとずつ雲行きがあやしなってんねん」
中島君のようにお金持ちの家の子には庶民にはわからない苦労があるのかもしれない。
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