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 笑顔で誤魔化しておく。 「千尋ちゃんから聞いたんやけど、遥ちゃん婚活中なんやって?」  私は首をひねった。 「今日はそういう目的じゃありませんよ。視野を広げたいって思ったので」  細谷社長は何度も頷く。 「そうなんや。今日ほどの規模やないけど、隔月でしとるし、来たらええやん」  私は、一応頷いた。本当は、二度と来ないつもりだ。 「実はね、僕、婚活中なんや」  細谷さんが言う。どう反応したらいいか迷う。 「今日は、当番にあたってるから自由にできへんねん。せやけど、遥ちゃんに会えたし良かったわ」  細谷さんが笑いかけてくる。好みではないけれど、濃いめのはっきりした顔立ちで、ほっそりしているし、なんと言ってもお金があるようなので、もてるはずだ。婚活しなくても相手くらいいそうなものなのに。私よりは随分年上だと思うけれど、全然くたびれていない。私は、なれなれしい人が苦手なので、正直受け付けない。女好きそうなのもアウトだ。 「手島さん」  沢村さんが戻ってきた。カクテルを渡される。沢村さんはシャンパンを持っていた。 「キレイですね」  私がグラスをみていうと「飲みたいですか?」と首をかしげて微笑んだ。ついじっと見てしまう。 「交換しますか?」     
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