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「見た目でほとんどのことを判断する愚かさは許されて、それを利用する賢さは許されない。おかしいと思わへんか? どっちもどっちやろ」  私は渋々頷いた。 「ようけ泣いたし腹減ったやろ。まだエクレアが残っとるで」  沢村さんが私の目の前にエクレアをぶら下げた。受け取る。うまく丸め込まれた気はする。  コーヒーをいれなおしてくれた。素の沢村さんにもだいぶ慣れてきた。  エクレアを食べ終わると「遥」と呼ばれた。  名前を呼び捨てにされるのは、少し抵抗があるが、『ちゃん』づけよりはましかもしれない。 「遥が、納得したところで、本題にもどるけどな」  私が何に納得したことになっているんだろうか。 「まあ、まず、手をキレイにしてもらう」  沢村さんは立ちあがると、私についてくるように言う。  洗面所で手を洗わされた。
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