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 そんな風に言われると、『結婚』をしたいのかがわからなくなる。 「婚活パーティーの参加者から選ぶ気なんやろ。俺で十分ちゃうん」  顔写真つきデータに置き換えれば、申し分ないどころではない。  仕事ができるのは、目の当たりにした。 「そんなこと、すぐに決められることじゃ……」  無理だとか、嫌だとか言えなかった。 「先延ばしにしてええんか? 俺はいらちやし、気が変わるかもしれへんで」  私は頭を横に振った。私にとっては、いらちなのが最大のネックだ。 「急かされても……」  沢村さんがため息をついた。 「まあ、しゃあないか。俺は遥を信用しとるけど、そっちはそうやないもんな」  信用するとかしないとか、それだけじゃない。じゃあ何かと訊かれても答えられない。 「信用してもらうんにはどうしたらええかな……やっぱ眼鏡やろか」  私は気が抜けた。眼鏡をかけたくらいでもう惑わされたりしない。
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