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少し休んで、目の痛みはひいた。
「とにかく、きりのいいところまで数えます」
床に散らかしてしまった束をもう一度数えた。それから、五千万円になるよう残りを数える。私が扇形にお札を広げた時、沢村さんに声をかけられた。
「ちょっと、こんなんしてみてや」
左手で顔を扇いでいる。私は渋い顔をしてみせる。
「一回だけ、ええやろ」
本当にこの人は、私から信用を得る気があるんだろうか。
ため息をついたあと、左手に持った紙幣の扇で自分を扇ぐ。サービスで沢村さんも扇いであげた。
「バブルやバブル」
嬉しそうにしている。バブル経済なんて私達世代にとってはただの『歴史』だ。
「ほんまキレイにひろがるもんなあ。また、バッサバッサって音もええし」
あの音がならせるようになったときは、嬉しかった。
「どうも」
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