2+1

44/50
前へ
/185ページ
次へ
「写真……撮ったんですか?」  沢村さんは頷いた。 「消してください!」  頭を横に振った。 「どうして!」  私は必死で訴える。 「写真は『保険』やもん」  沢村さんは、私をまっすぐに見つめた。 「信用しとるのに、裏切られたらかなんやろ」  笑いかけられた。 「裏切らへんだら済むことやんか。そう、気に病むことちゃうやん」  私が裏切ったら、写真をどうにかするつもりなのだろうか。それは、私を信用していないことにはならないか。  私は気づく。  『保険』というより債権の履行を確保する『担保』のようだ。一応は信用されて融資を受けられたとしても、支払いが滞ったら担保をとりあげられる。  だいたい、どういう行為が『裏切り』にあたるというのだ。私達は『友人』で……友人同士の裏切りなんて、彼氏を取るだとか借りたお金や物を返さないとか、そういうことしか思いつかない。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1130人が本棚に入れています
本棚に追加