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「せやから、中島海渡君と付き合ってみたらええやん。彼、めっちゃ可愛いし、遥のこと好きで好きでたまらん風やん。俺に対する態度が好戦的で、またその顔が……」  沢村さんが楽しげに言う。 「そや、明日の夜から出るんやろ、付き合おうって言ってみたらええやん。二つ返事やって」  私は首を横に降る。 「次付き合うのは、結婚の考えられる人って決めてるんで」 「あ、そうなん? そんなら俺と付き合うか?」  口笛を吹き出しそうな軽いノリで言う。それなのに、私は少し嬉しかった。気づかれたくないから、唇を固く結んだ。 「京都市内で会うときは、いつでも遥の好きな仕事バージョンやで」  沢村さんと出掛けた夜のことを思い出す。心臓が騒ぎ始める。あの沢村さんとデートできる。 「遥あ、素直になったらどうや」 「素直にって言われても……」  付き合うかどうかだって、そう簡単には決められない。今の沢村さんを知らなかったら、即決できた。 「あっ、待ってや、今はええわ。日曜の夜に電話かけるし、そん時までに決めといてや」  そう言われて、拍子抜けした。 「今、付き合い始めたら、遥は中島海渡君と砂丘に行かへんて言い出しよるやろ」  そんなの当たり前だ。  一体、なんなんだろう。私は沢村さんから勢いよく顔を背けた。 「膨れっ面も可愛いなあ」  頬を軽くつままれる。胸が締め付けられて、目を細めた。 「沢村さんは、私と中島君にどうなって欲しいんですか」 「言っちゃってええの?」
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