夢日記

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「ヒロキは、もう悩まなくていいんだよ。だって、今日からずっとこの世界で暮らすのだから。」 「先輩、どういうことですか?」 「僕はね、ヒロキをずっと救いたかった。僕とヒロキは一心同体なんだよ。」 先輩は、そう言うと、僕の頬に手を当てて、顔を近づけてきた。 先輩の細く尖った鼻先が、僕の鼻先に触れ、もう少しで唇が重なる、その時だった。 「おっきろおおおお!ヒロキ!」 耳元でキンキンと声が響き、頬を往復ビンタされた。 僕は、目が覚めた。 僕に馬乗りになっているのは、幼馴染の凛だった。 「リン?」 僕が目を開けると、そこは墓場であり、大きな桜の木の下だった。 はらりと桜の花びらが、私の顔にひとひら降り注ぎ頬に張り付いた。 「なにやってんだよ。こんな所で寝ちゃって!」 凛が叫んだ。 「僕、どうしたのかな?」 僕がぼんやりと、凜を見つめて言うと、凜がようやく、僕の上から体をどけてくれた。 「どうしたのかな、じゃないよ。あんた一ヶ月も行方不明だったんだよ?いったいどこに行ってた!私、心配したんだからね!」 そう言うと、堰を切ったように、凜の目から涙が溢れ出した。 「ごめん、よくわからないけど、泣かないで。」 僕は凜をなだめた。 そして、今までの経緯を全て話した。 「何言ってんの?うちにはそんな先輩は居ないよ?」     
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