今夜、星屑が積もる頃に

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 今夜、星屑が積もる頃に。  招待状が届いたのは、まだ空が真っ暗な、寒い朝だった。 高校の同級生、菜見子が送ってきた結婚式の招待状と同じ、白い封筒に、白いリボンとマーガレットの型押しがされたデザインだった。  菜見子は消極的で、私は積極的で、あの頃……とはいえ、十数年前の制服を着て、毎日が意味不明に楽しかった日々を過ごしていた頃、私はいつも、菜見子を引っ張ってきた。 菜見子は私がいないとなにもできないし、菜見子より私の方が優れているって、思いこんでいた。  でも、今の私は高校を卒業してすぐ就職した会社を、人間関係が嫌になってしまい、わずか半年で辞めて、アルバイトをしながらワンルームマンションで、ひとりぐらしをしている。 いっぽう、菜見子は短大へ進んで、就職して、会社で知り合った年上の、優しそうな男の人と結婚することになった。  菜見子には、いや、他の元クラスメイトにももちろんだけれど、アルバイトで暮らしていることも、決まった相手がいないことも、話していない。  本当は、いちばん、来てほしかったのに。  欠席の返事を出してから数日して、菜見子は寂しそうに、電話の向こうから私に言っていた。  菜見子を心からおめでとうって、祝うことができるか、今の私には自信がなかった。負けた、先を越された、菜見子のくせになんて、考えちゃいけない言葉が、あとからあとからが心のなかに溢れてきそうだった。  今夜、星屑が積もる頃に。  招待状には、たったひとことと、戸建てが連なる丘にある公園までの、手描きの地図だけ。  ニュース番組の天気予報でも、流星群が見えるでしょうとか、そんな情報は流れていない。  誰かのいたずらかしら、それとも。  私はテレビ画面に表示される時計を見ながら、トーストを食べて、髪の毛をまとめて着替えて、戸締まりをして、アルバイト先であるスーパーマーケットへ向かった。
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