今夜、星屑が積もる頃に

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 見上げた空は、さっきからもやもやと鈍い光を含んでいる雲が、どんよりと空に覆い被さっている。  今夜、星屑が積もる頃に?  星屑が積もるなんて、ありえない。  私が立っている地面に届くまで、いろいろな、空気の層があって、そこで燃え尽きてしまうのではないだろうか。  でも、へりくつな私をよそに、周りはものすごくはしゃいでいる。  子供たちは片手に露店で買った食べ物を持っていたり、母親に手をひかれたりして、浮き足だっている。大人も同じだ。友達どうしでわらわらと楽しそうに、横並びでだらだらと歩きながらしゃべっている。缶ビールを飲んで、真っ赤な顔をしていたり、変な歌を歌ったり、大きな声で笑ったりして、ただ騒ぎに来ているようにしか見えない。  くだらない。  地元で定期的に行われる、縁日みたいなものじゃないか。子供連れや、友達どうしなら楽しいだろうけれど、ひとりぼっちじゃ、寂しさに、拍車がかかるだけ。  岡本くんも見失った。  やっぱり、来るんじゃなかった。  別に待ち合わせているわけでもないし、寒さをがまんして、ひとりでブランコに座って、キィキィ、キィキィ。ばかみたい。  結局、私はなにをしに、ここまで来たのだろう。  菜見子とのことをぐるぐる考えたり、賑やかな露店が集まる広場を、眺めているだけで、とくになにか楽しみを見つけに来たわけでもない。  そのうえ、へりくつと言い訳ばかり浮かべて、身を縮ませている。頭の中でぐるぐる回っている渦に、巻き込まれて、そのままになっている。  明日は、アルバイトも休もうかな。それか、別のとこ探そうかな。  休むにしても、やめるにしても、店長がぶつぶつ電話口で、嫌味を言うだろうけれど。 「……つまらなかったなあ」  帰ろうと、腰をあげたそのときだった。  パラパラ、と頭になにか小さいものが落ちてきた。
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