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次の安息日前日、ランバートは外泊届を出して町に出た。それというのも、今日は泊まりがけの飲み会なのだ。
以前にも使った『コーディーズ』という店に皆が集まってくる。宴会に使う一階の大部屋を貸し切り、布団まで持ち込んでの無法状態の飲み会は去年の昇級試験後の飲み会以来だった。
「ゼロス!」
先に来ていたらしいゼロスに声をかけると、彼もこちらへと歩を進めてきた。
「早いな」
「訓練が早く終わったからな」
店に入ると、まだ誰も来ていない。予約した部屋に落ち着いて腰を下ろし、ランバートは改めて向き合った。
「そういえば、バロッサの報告してくれたんだろ? 悪かったな、休暇とっちゃって」
「いや、大した事じゃないから平気だ」
穏やかにゼロスは笑う。
最近ゼロスは雰囲気が丸くなった。昔から静かな奴ではあったが、張りつめた感じがないわけじゃない。その空気感が、僅かに変わった気がする。
そして同じ事が、クラウルに言えた。纏う空気に緊張感があるのは確かなのだが、以前よりもずっと穏やかに見守るような柔らかさが加わった。
「それよりも、お前達は大丈夫なのか?」
「ん?」
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