春爛漫にも悩みはある

3/5
前へ
/42ページ
次へ
「ハリー、頼むからその目は…」 「俺もそんな情熱的な求め方されたい。コンラッド、頑張って」 「何を頑張ればいいんだよ!」  明らかに酒ではない赤さでコンラッドが叫ぶが、ハリーも酔ってきたのかいつも以上にお触りが激しい。胸の上に指を置いてクルクルしている。 「お勉強用の本貸したじゃん」 「あれは!! あんな…あれは……俺に何を求めてるんだよぉ」  頭を抱えるコンラッドに、他の面々は「お勉強本?」という疑問を素直に提示している。 「コンラッドが最近読んでる本なんだが……どうやら、激しい系らしい」 「ハリーって、そういう趣味だったの?」 「らしいじゃん」  同室者からこうして情報が漏れていく。ゼロスの言葉にボリスがヒソヒソと疑問をぶつけ、レイバンが呆れたようにしている。 「でもさ、ゼロスってそんなに受けは嫌なの?」 「嫌ってわけじゃ…。逆にお前達は平気なのか? こう…自分の知らない自分に塗り替えられるようで恥ずかしいだろ。最終的に自分が何を考えているのかも分からなくなるし」 「どんだけテクニシャンなんだろう、クラウル様って」     
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

380人が本棚に入れています
本棚に追加