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「喧嘩したと聞いて、少し申し訳なかった。悪かった、ランバート。お前一人を行かせた俺の落ち度だ」
素直に頭を下げるゼロスの頭を、慌ててランバートは上げさせた。
そもそもあれはランバートが悪かったんだ。一人で行くことを決めて動いてしまったし、そこに躊躇いもなかったのだ。ゼロスが悪いんじゃない。
「俺にもう少し余裕があれば、先にクラウル様に相談するなりやりようがあったんだ。そこに考えが至らなかったんだから、ゼロスのせいじゃない」
「いや、俺も許可を出してしまった。後になって考えて、恐ろしくなったんだ。今回は運が良かっただけで、もしもお前が殺されていたら。攫われていたら。そう思うと、咄嗟の判断に誤りがあったんだ。それが原因で喧嘩になったと聞いて…」
「あぁ、いや本当に…」
互いに謝り倒す。そのうちに、可笑しくなって互いに笑った。なんとも妙な感じがした。
「お互い様って事で、今回はいい事にするか」
「あぁ、そうだな」
互いに言って、握手を求める。そうしてがっちりと手を握ったそこに、今までにない信頼と強さがあるように思えた。
「どうやらこれから、俺達は組む事が多くなるらしい。よろしく頼む、ランバート」
「勿論。俺の方こそ、頼む。馬鹿をやりそうになったら、殴っていいから」
「そうならないように頼む」
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