2幕~最強の行方~

2/5
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
「下の連中には聞こえない。本当のことを言ったらどうだ。妬いているんだろう? 織姫との関係に」 「天界の女にうつつを抜かしているのが気に入らないのよ。仙人のくせに!」 「オールドタイプか。人間界のグローバル社会という言葉を知らないのか?」 「人間の言葉はもっと気に入らない!」  増幅した紅衣仙女のオーラに吹き飛ばされ、体勢を立て直すまもなくあごに掌底打ちが入った。  落下していく李鉄拐に急降下で向かっていく紅衣仙女。オーラを全開させ体勢を立て直す。  武術と武術が火花を散らす。  裂ぱくの気合が生む一閃一閃の刃風が地上の一同に突き刺さり、仙人よりも実力面ではるかに劣る茜舞や円化の着物や皮膚を小さく切り裂いた。  ついに蹴りをさばいた李鉄拐の強拳が紅衣仙女の頬に入った。  チャンスとばかりに追撃しようとするが、紅衣仙女が傷心の面持ちを見せた。相当の強打だったのだろう、一瞬痛みに顔をゆがめながら、低速で地上に降りていった。  着地し、向かいあう。 「まさか戦意喪失、かな? 女に本気を出すなんて、などという顔をしているがこれは生き残りをかけた決闘だったはず」 「あんた、本気でやってたの?」 「あたりまえだ。そもそもおまえが言いだしたことだろう。ん? まさかまだ本気を出していなかった、などとは言わんだろうな?」  と挑発する。 「……むかついた」  紅衣仙女が右手をあげると、その手に霊剣が出現した。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!