18人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
第1話・1幕「禍乱(からん)」
天地を創造したのは盤古という巨人である。
世界がまだ闇と液状の混沌だけだったころ、盤古が生まれた。
盤古は気が遠くなるほどの時間をかけ、天にそびえるほどの巨人となっていった。
盤古は9つの姿に変化すると言われ、そのなかのひとつが鬼である。
そして寿命を迎え身が滅びるとき――それぞれの部位が砕け、天高く伸ばした指が天界に、胴体は人間界に、体液は地上を溶かして地下に流れ冥界を創った。
最後に、盤古の涙が空間を裂き、その割れ目に流れこむ。
涙は湖となり、眼球は湖に落ちて陸地となった。
天界、人間界、冥界につづくその4つ目の次元は異界と呼ばれることとなり、物語は、この異界からはじまる――。
最初のコメントを投稿しよう!