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2幕~最強の行方~
李鉄拐と紅衣仙女の決闘の場は、どこまでもつづく大草原である。
茜舞にとってはどうでもいいことであった。
無意味な風、無意味なプライド、無意味な時間。詮無い決闘。
だが天界もいちもく置くと言われるその実力――この際、最強の行方を見届けるほかあるまいと溜息をついた。
勝ったほうが指揮を執るという約束なのだから、どうせならやりやすいほうが勝ってくれればそれでいい。その程度であった。
いやむしろ、相打ちになってくれればおそらく師匠の酒呑童子が指揮を執ることになり、やりやすくなるのでは、と。
だが弟子の円化が言う。
「もしお互いがむきになって、雷公と戦うための武器が破損したりするとまずいんじゃ。やっぱり止めましょうよ」
と、酒呑童子と茜舞に言う。確かに。そうなれば、まずいことに、かなりまずいことになる。
茜舞は近くにいた西王母にそれを伝えようとしたとき、決闘がはじまった。
ふたりは砲弾のごとく天高くあがる。
「剣は出さないのか」
「女に素手で負けたときの泣きっ面が見たくてね!」
紅衣仙女と李鉄拐が、七色と八色のオーラをまとってロケットのごとき速度で火花を散らす。
ヒットアンドアウェイを繰り返すこと八回。手首でつばぜり合うなか――
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