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俺は社員証をパネルにかざし、男性用ロッカールームに入ると、クラスメートだった、下平が居た。茶髪だが、間違いない。下平明人(しもだいらあきひと)だ。味方が居て良かった。もうユニホームに着替えてるな。
「よう、下平。ここの会社受かったのか」
「まっつぁん? まっつぁんも飯松ウィステリア工業に? 入社試験に居たっけ?」
「顔パスで入社したよ」
「どういうこと?」
「ズバリ言うと、コネだ。従兄とここの御曹司が仲良くてさ」
「まっつぁんのスペックの高さも評価されたんじゃないの? ウォーライフで前人未到の100連勝したんでしょ」
「この1ヶ月で130連勝まで伸ばしたよ」
「スゲー! 早く着替えてきなよ。グリーンのユニホームってダサいけど。あと、御曹司って遠藤力でしょ。ヤバい奴みたいだよ」
「ああ。遠藤は気難しいみたいだけど大丈夫だろう」
「じゃあ、講堂で待ってるから」
俺は自分のロッカーを社員証のナンバーを見ながら探す。1周回って入り口付近だった。
俺は入社試験を受けてないから、勝手が解らない。まあ、徐々に慣れてくか。
ロッカーを開け、ジャケットを脱ぐ。中には緑色のユニホームと帽子が入ってた。サイズが合ってれば良いけど。
「良い筋肉だな、君」
いきなり、後ろから声を掛けられた。俺は振り向き、自慢話をする。
「柔道初段なんですよ~」
「へ~! 凄いね! 得意技は?」
話し掛けてきたオッサンは感心してるようだ。
「背負い投げ、内股、大外刈ですかね」
「体力を遣うから、君なら大丈夫そうだね。私はB棟のライン長の小宮山(こみやま)だ。宜しくね」
「松本圭市です。宜しくお願いします」
「後でプラントを案内するから、またね」
俺はウェアラブル端末の時計を確認する、9時57分。マズイ、急がないと!
電話で確認しておけば良かった……。ユニホームがピチピチだ。
俺はロッカールームを出ると、近くのドアに【この先、講堂】と書かれていた。
社員証をパネルにかざし、階段を上る。
「それでは、着席して下さい」
イカン、始まった。
講堂は食堂も兼ねてるのか。左側に厨房がある。2~300人は座れる、だだっ広い所だ。
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