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02(春休み)
――次の日の朝、俺は目が覚めると、なんか違和感が…………? 自分の寝姿を俯瞰で見る。たまにある夢か、学校も終わったし、二度寝しよう。シティのやり過ぎだな。
俺はぐっすり二度寝から起きて、リビングへ行き、1人で朝食を摂る。食パンと野菜ジュースだ。食パンは焼かないし、何も塗らない。小麦の風味を感じたい。静かで小鳥のさえずりしか聴こえない。
ブーン……ピッピッピ……。トラックの音が微かに――まさか、積載車!? もうGTRが来たか。
俺は本堂でスニーカーを履き、駐車場の方へ行く。
明暗寺は本堂から左に長屋、門から境内を出て右に駐車場があり、一車線道路を挟んだ向こう側に墓地がある。そこら中に松の木が生えてる。
やっぱり、積載車だ。荷台からブラックパールメタリックのR32スカイラインGTRが降ろされてる。
「どうも、明暗寺の松本圭市さんですか?」
「はい、そうですよ」
「運送料は先に頂いてるので。降ろしちゃいますね」
ありがとう! 良太兄ちゃん!
積載車の荷台が斜めになり、ゆっくりとGTRが接地する。遂に来たんだなと、この上ない喜び!
明暗寺の駐車場は15台置ける。右端に笹隼伯父さんのデイズ、博子伯母さんのミラ、和事兄ちゃんのインテグラが停まってる。
俺は10段ほどの階段を下りて、GTRに駆け寄る――格好いい! リアフェンダーのサーフィンラインを撫でる。間近にすると、ドキドキからワクワクに変わった。
ハッと我に返ると、積載車のオッサンは苦笑いしてる。
「あっ、すみません。つい」
「いいんですよ。では、ここにサインして下さい」
俺は伝票を受け取り、GTRのウインドウを下敷きにカタカナで【マツモトケイイチ】と書く。
「これでいいですか?」
俺は伝票を返す。
「はい、確かに。マシンの仕様についてはシティのシミュレーションで確認して下さい」
「既に予習済みですよ。アテーサキャンセル、ハイキャスキャンセル、機械式デフで」
「ドリフトをやるつもりですか。くれぐれも、リアルで怪我をしないで下さいね。それでは私は帰りますので」
オッサンは積載車に乗り、帰って行った。
「ウッヒョー! たまんねえな~!」
「圭市、何、奇声を上げてるんだ?」
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