第1章 家政婦を依頼したら執事が来ました。

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酷い状態の、家の中を思い出して、紅夏のあたまががっくりと落ちる。 元来の家事下手と仕事の忙しさも相まって、さほど広くない家の中は足の踏み場もない状態になっている。 「でも、仕事忙しいし……」 言い訳でしかないことをグチグチと言ってみる。 自分でもわかっているのだ、あのままだとまた近いうちに閉じ込められるのは。 「確かに大藤先生にはいま、家事なんかする暇があるなら書いてもらいたいというのが正直なところです。 ……そうだ、家政婦頼んでみたらどうですか?」 「家政婦?」 家事を誰かに頼んでやってもらうなど考えなかったし、盲点だったとは思う。 ――が。 「知らない人が家の中にいるのは落ち着かないっていうか……」 人見知り、まではいかないが、それでも人間関係はあまり得意ではない。
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