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「エリノーラさえいればほかになにもいらない。
王子の地位なんて捨ててもいい」
「ライオット……!」
エリノーラの若草色の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちていく。
ライオットは立ち上がると、そっとエリノーラの落ち続ける水晶の滴を指で拭った。
「やはり君は、可愛い」
エリノーラの、蜂蜜色の蕩ける髪の中にライオットの手が差し入れられ、そっと頬にふれるとびくりと身体を震わせてしまう。
ゆっくりとライオットを見上げると、眩しそうに目を細めて笑っていた。
緊張で多少ぎこちなかったがそれでもエリノーラが笑い返すと、風が駆け抜け薄桃色の桃の花びらを舞い散らしていく。
「ずっとずっと、君を、君だけを愛していた。
やっと、伝えることができた……!」
いつもは顔色ひとつ変えないライオットの頬も僅かに赤みを帯びている。
ライオットの両手がエリノーラの頬を挟み、上から潤んだ瞳が自分を見下ろしていた。
「私もずっと、ライオットを愛してた……」
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