第3章 私を彼氏にしてみますか?

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……いない、よね。 さっき買い物に出て行ったし。 そーっとあたりを窺うと、紅夏はそろそろと引き戸を開けて籠もっていた仕事部屋から出た。 「あーん。 セバスチャーン!」 茶の間で毛繕いしていた黒猫に向かっていくと、するりとかわされた。 簡単に捕まらないところが憎くもあり、可愛くもある。 「ほらほら、ちょっとお姉ちゃんと遊ぼー」 お気に入りの猫じゃらしを目の前で振ると、猫――セバスチャンの目の色が変わった。 「にゃっ!」 捕まえようと飛びついてくるセバスチャンをかわして猫じゃらしを振る。 セバスチャンは夢中になって追いかけてきた。 「いやーん、可愛いー」 紅夏の顔は完全に蕩けている。
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