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心配そうな桃谷に、つい首を傾げてしまう。
最近、なにかあったのだろうか。
ここのところ原稿にかかりっきりで、ネットすら見ていない。
「知らないんですか?
一週間くらい前かな。
ひとり暮らしの若い女性が殺された事件。
彼女、ネットで小説書いてたみたいで、作品がいま凄く話題になってるんですよ。
……それと。
知り合いの週刊誌編集に聞いた、ここだけの話なんですけど」
声を潜めると桃谷は、まるで内緒話でもするかのようにぐいっと顔を紅夏の方へ近付けた。
「遺体、まるで芸術作品みたいに現場に飾り付けられてたって。
猟奇殺人ですよ」
「こわっ」
つい、身体がぶるりと震える。
おびえた表情を見せた紅夏に、桃谷が満足したかのように頷いた。
「犯人、まだ捕まってないですし。
大藤先生も私も、女のひとり暮らしなんですから。
お互い、気をつけないと」
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