静寂の後に

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トスッ、と軽い音を立て、的の中央寄りに矢が突き刺さった。 「よっし!」    洗練された動作で弓を下ろす――「離れ」という型をする選手に、観戦席から矢声が上がる。  その選手の次に射る先輩は、真剣な表情を変えることなく、澄んだ瞳を真っすぐ、射貫くように的へ向け。    ――空気は張り詰め、静寂が場を支配する。  矢声が上がった時の熱気は、もうすでになく。    人はただ、矢が風を切るのを待っている。  時間が止まったかのような錯覚さえ覚える最中――矢が、空間を斬った。
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