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一人になった部屋で総司は思考を巡らせた。
(土方さんのあの様子・・・近藤さんに何かあったに違いない。だから今いるはずのない江戸にいたのだ。そもそも、危険をおかして土方さんが江戸に戻って来るのに近藤さん以外に理由がない。恐らく近藤さんは江戸にいる。旧幕府側と何かあったのか、それとも敵に捕られられてしまったのかは分からない)
でも、と総司は思った。
(近藤さんは生きている。そして土方さんがきっと何とかしてくれる)
そうでなければ土方が総司の所を訪れるわけがない。
確証はないけれど、総司には何故かそんな自信があった。
だから、自分は土方の言う『自分にしか出来ない戦い』を一刻も早く見つけ出し行動に移す。
土方はああ言ったけれど、自分にはもう大して時間が残されていない。
身体を蝕むものが今どこまで進行しているのか、それは総司自身が一番よく分かっていた。
だから早く見つける必要があるのだ。
それが自分に与えられた任務の様にさえ感じ、久しぶりのことに自然と高揚感が胸の奥底から沸き上がる。
「それにしても、土方さんは相変わらず嘘をつくのが下手だなぁ」
土方の姿を思い出すと、こんな状態にも関わらず総司の顔には笑みが浮かんだ。
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