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その日の夕刻、帰宅の準備をするミツのもとへ総司がやってきた。
座敷に座り、着替えなどを風呂敷に包んでいたミツは人の気配を感じ、顔をあげると真剣な顔をした総司がこちらを見下ろしていたものだから思わずびくっと肩を震わせた。
土方が帰ってから、何度部屋を訪れてもずっと布団を頭からすっぽりと被って寝ている様子だった総司がここにくるとは思いもしなかったのだ。
そもそも彼が部屋を出て歩き回る事は勿論、布団か出ることすらも最近では珍しいことだった。
病で痩せ細ってしまったものの、自分よりもずっと背の高くなった立派な青年を見上げ、優しく声をかける。
「どうしたのです?寝ていなけれはいけないでしょう」
「お願いがあります」
ミツの言葉を遮るように言うと、正面にさっと正座をし、総司は真剣な声で話始めた。
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