第一章 それぞれの戦いへ

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 夕方になり、ようやく目を覚ました総司は診察にやってきた松本良順にとんでもない事を願い出た。 「お願いします!」 「駄目だ!お前は自分の状態が分かっているのか!」  2人の激しい言い争いに大慌てで駆け付けた松本の弟子が見たのは、今にも掴みかからんとする松本と、それに怯むことなく鬼気迫る目で松本を睨み付けている総司の姿だった。 「メース、何をしているのですか!」  驚いて止めに入る弟子を松本が軽く振り払う間も2人は瞬き1つせず睨み合う。 「落ち着いてください、メース!沖田さんも!」  何とか宥めようとする弟子だが、それは逆効果だった。 「これが落ち着いていられるか!俺ぁ沢山の患者を診てきたが、こんな自分の病状が分かってない奴ぁ初めてだ!」  息巻く松本に、沖田も負けじと言い返す。 「分かっています!分かっているから最期の最期まで自分の道を生きたいと思う事の何が悪いのですか!」 「お前ら武士の生きる道が死ぬことってぇんならな、俺達医者の生きる道は患者を治すことなんだよ!それを否定するなら自慢の剣で俺を斬ってから自分の道とやらを生きやがれ!」 一触即発。  そう感じた松本の弟子は一瞬身構えたがその時、今まで体中で張っていた気を沖田がすっと抜いた。 「死にたいからではありませんよ。私の道はいつだって新選組に繋がっているのですから」
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