66人が本棚に入れています
本棚に追加
「違う。俺達は死ぬために戦いに行くんじゃねぇ!勝つために行くんだ。だから、戦が終わればまた戻ってきて・・・!」
総司は必死に話す土方に困ったような顔で小さく微笑んだ。
それは儚く、思わず美しいと思ってしまった土方は言葉を失い、息を飲んだ。
「土方さんの心配なんて微塵もしていませんよ。あなたが簡単に死ぬようなたまですか。・・・私です。もう長くない。土方さん達が帰ってくる頃にはきっと・・・」
「馬鹿な事言うんじゃねぇ!お前こそこんなところで死ぬような奴じゃねぇだろ!」
土方のあまりの剣幕に思わずたじろぐ。
いつもは余裕のある彼が強い口調とは裏腹に縋る様な、あまりにも必死な顔をしたのだ。
危険な場所に向かう時でも、隊が真っ二つに割れてしまった時でも、土方が「大丈夫」と言えば大丈夫なのだと信じて来られた。
彼だけは危機的な場面でもどこか余裕があり、そんな時こそ輝いていたものだ。
それがどれだけ総司を安心させていたか分からない。
土方の様子に、違和感と不安感が押し寄せてくる。
最初のコメントを投稿しよう!