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「自分から告白したなんて初めてじゃない?」
後日、桜子経由でいきさつを聞いた陽路にからかわれ、竹下はまたしても赤面した。
「余裕ないねー! 珍しいじゃん」
「やめなよ。せっかくダブルデートに誘ってくれたのに」
笑う陽路の袖を引っ張って桜子がたしなめる。
「くっそ、覚えてろ」
悪態をつく竹下を鼻で笑って、陽路は桜子と並んで歩き出した。
「先輩、手つないで」
竹下は甘える梨々花に素直に手を差し出したが、彼女が握ろうとした瞬間ぱっと引っこめてしまう。
「もー!」
舌を出す竹下が憎たらしくて、梨々花は強引に腕をからめて彼の手を捕まえた。
「絶対、離さないんだから」
歩きながら見上げると竹下は「こわっ」と言ったが、その顔は今まで見たことがないほど嬉しそうに笑っていた。
(完)
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