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社会人になってからは、お互いに時間に追われる毎日だったが、それでも何とかお互いに時間を合わせて会うようにしていた。
この頃から、私は裕子の様子が少し変わってきたと感じていた。
メイクや服装が派手になって、煙草を吸うようになったからだ。
今までの裕子は、どちらかというと可愛い系の女性だったが、この頃の裕子は大人の美人系の女性を演じているように思えた。
アパレルという職業柄、このような感じになるのかと、私は感じていた。
その後の裕子は、見た目だけではなくて生活も派手になっていって、金遣いも荒くなっていったように感じた。
週末は、新宿歌舞伎町のホストクラブに通って、朝まで飲み明かすといったこともたびたびあるようだった。
私は、裕子の変貌ぶりについていけない感じがしたが、でも裕子は私に対しては、いつも優しく接してくれて、私には裕子に会うと今までと何も変わらない感覚もあった。
25歳になった頃の私は、社会人になって経済的にも何とか1人前に食べることができるようになってきて、そろそろ結婚したいと考えるようになっていた。
私は、結婚相手は裕子以外は考えられなくて、いつか裕子にプロポーズしたいと考えていた。
ある日、会社の仕事を終えて裕子と待ち合わせして飲みに行くことになった。
この日、裕子に大切な話をしたいと思った私は、静かで落ち着いた雰囲気の個室の居酒屋に行くことにした。
居酒屋に入って、まずはビールで乾杯し、食事をしてお腹が落ち着いた頃を見計らって、私は裕子に話しをした。
「裕子、僕はそろそろ結婚を考えているよ!
僕は、裕子と結婚したいと思っているよ!」
この話をすると、急に裕子の顔から笑顔が消えて、沈黙してしまった。
(どうしたんだろう…)
私は、急に不安に襲われたけれど、自分自身も何を話したらいいのか言葉が見つからなくて、言葉を発することができなかった。
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