天の草原、翔る。

第１幕

しとしと降り続く雨を、うんざりしながら眺めていた。身体中を這うような暑さには、もう耐えられそうにない。

呪いか、何かのように単調に聞こえてくる歴史教師の声が、この苛立ちを倍増させていた。

季節は梅雨。

夏休みを目前に控え、浮き足立っているクラスメートに、白けた気持ちで背を向け、降り続けている雨を恨めしく見つめ続けた。

「……であるから」

教師の話を遮って、けたたましく、授業終了を知らせるベルが鳴った。

それまで、遠慮がちにこそこそと夏休みの計画を相談していた生徒たちが、ここぞとばかりに騒ぎはじめた。

こうなると、授業の内容が終わっていようが、終わっていまいが、関係ない。歴史教師は、肩を落として教室を出て行った。