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公園に着くと二人はブランコに腰掛けた。しばらく前後に揺れながら黙っていたが、猛はブランコを降りると、私の横に立って言った。
「俺、ナチスのファンやめる。ナチスは酷い奴らや。やけ、俺ナチスをやっつけるけ。この事は誰にも言わんでね。」
「うん。タイガー戦車で行くと?」
私が冗談半分で言うと猛も冗談半分で答える。
「んー、パンサーの方が良いかもしれん。」
そして二人は笑いだし、またブランコを漕ぎだした。猛は板の上に立ち、激しくブランコを漕ぎ続ける。そして私も同じように激しく漕ぎ始めて言った。
「タケシ、これ出来る?」
私はそう言ってブランコの手を離した。そして鉄柵を飛び越え、地面に下りてすぐ転がった。
「なんしよん。バーカ。」
猛はブランコのスピードを緩めながら言った。
「痛ってー。」
私は膝を擦りむいた。猛は笑った後、ブランコから降りて、
「じゃあ、俺、帰るけ。」
と言ったので私は拍子抜けして言った。
「え?タケシ飛ばんの?」
「俺が飛べる訳ないやん。バイバイ。」
「ああ、またね。今度俺が遊び行くけ。」
私はそう言って彼の背中を見送った。
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