合コン

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合コン

 人生で初めて合コンというものに誘われた。幹事は社内でもトップのイケメン、川崎。彼にしては珍しいことに、その数週間前に女に振られてしまっていた。それからというもの、彼は殆ど誰とも口を利くことがなかったのだが、突然、彼から連絡があった。その日の昼間の陰気ぶりとは全く違ういつも通りのハイテンションな声だった。 「やあ、ひっさしぶり、元気かい?ちょっといい?」 「夕方まで一緒だったじゃないか。で、何だ?」  彼のハイテンションには慣れっこだが、突然の変わり様に私は驚き、少々心配になって冗談を挟まず、すぐさま要件を訊いた。 「いやいや、こういう事訊くのも申し訳ないんだが、君って彼女居ないよね?いや、ホント気を悪くしないでね、君がモテるとかモテないとかそういう話じゃなくって、」 「そんな事分かってるよ。お前って失言が超多いけど誰も恨んじゃいないよ。で?女でも紹介してくれるのか?」  彼はイケメンだが、早口の割にまとめるのが下手な分、要件を伝えるのにかなりの時間を要する。そこで大概の友人は話の途中で口を挟むことになるのだ。 「ああ、そうか、やっぱり僕って馬鹿なのかなぁ、」 「んな事ないよ。そんな事気にしないでいいから、何の話?」  私はいつもより優しい言葉を選んで対応した。 「あ、そうか。君、彼女居ないよね?」 「(何度も訊くなよ)居ない。」 「じゃあ、合コンのメンバーになってくれないか?あと一人で四対四なんだよ。ね?」  数秒の間沈黙が続き、彼は心配そうに訊く。 「あ、マズイ?」 「いやあ、そうじゃないんだ。」  川崎主催の合コンとなれば、他の三人は九十九パーセント彼の引き立て役に回る。あとは僅か一パーセントの、彼には少々不得意なアダルトな魅力に賭けるしかない。しかし、彼は意外なことに女の前ではシャイで言葉少なになって、女は彼がアダルトな男と勘違いする可能性がある。そうなれば結局三人の勝ち目は無い。 「ごめんね、気を悪くしただろう?」  彼のトーンが下がる。
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